ビルマな日々          

1.変な像についての考察 1
    
     

 ビルマは変な像であふれかえっている国である。
 噂には聞いていたけど、これほどとは思わなかった。
 この国には、日本ではマクドかスタバかロッテリアくらいの密度でパコダ(寺)が転がっているのだが、その一つ一つに、日本で言えば
「美的感覚狂ってるんちゃうか」
と思うくらい不気味なオブジェが乱立しているのだ。
 例えば一番左の像。「ピピェタインタオ」という七転び八起きの像らしい。
 二番目は、トランプのジョーカーだろうか。奇術師のようなダンディな服装と長いあごひげに痺れる。
 三番目で踊っているのは、「昔のビルマ人」の姿らしい。股間の偉大な盛り上がりと腹のしわがいい。ひげもイカス。
 一番右は、これから托鉢に行く僧群である。
 だが、場所は山のど真ん中。何もない。
 こんなところでなんで「托鉢」しているのか、謎である。

 さて、この奇怪なオブジェ群。
 日本人の目から見ると十分変なのだが、ビルマ人はどう思っているのだろうか。真剣に拝んでいるのだろうか。
 それを解き明かす一つの鍵がある。
 僕がバゴーという町をサイカー(自転車の横に助手席をつけた乗り物)をチャーターして走り回っていると、右から二番目の「踊るビルマ人」に出会った。
「おもろいなあ」
 と思いながら写真を撮り、隣のサイカーの運転手に、あれはいったいなんなんや、と聞いてみた。
 運転手のおっさんは、
「ああ、あれは昔のビルマ人やで……」(日本語)
と言い、じっと像を見つめた後、少し乾いた声で、
「ハッハッハ……」
と笑ったのだった。