日本ふしぎ祭


7月14日 水止舞(東京・大森)


これは、鋭い祭りである。
男が米俵でぐるぐる巻きにされ、道をごろごろ転がされていく。手には法螺貝。
容赦なく水をぶっ掛けられ、そのたびに
「ブオー ブオー」
と悲しげに法螺貝を吹かねばならない。

雨を止めるための祭りなのである。
鋭いのが、この祭りを梅雨明けの7月14日にやることだ。
この日には雨が降ったことがないって、そりゃそうだろう。梅雨明けなんだから。
僕は、あるオカルト本で読んだ一節を思い出した。


「日蝕が起こる。原始人は怖がる。祈祷師が祈る。太陽は元通りになる。
……祈祷師がもとにもどしたのだ」

(撮影・芹川智洋)